今時の転職事情を知る

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アベノミクスの影響もあった

転職は国勢にも大きく左右されている部分がある、経済状況が安定していれば優秀な人材をドンドン引き入れて業績を上げたい会社が増えるもの。そういう意味では昨年2014年度の転職事情は少なからず好転していた業界もあるようだ。いわゆるアベノミクス効果という、一般人に全く恩恵のない政策が転職事情に1つの起因を与えている。その中でも特に大きく転職することでこの先さらなる業績拡大を望める期待が持てるのが、2020年に開催される東京オリンピックによる経済効果も関係しているという。またリーマン・ショックによって多大な被害を被った不動産業界なども好転した動きを見せており、オリンピックなどの外的要因によって今後業績をさらに挙げられる業界などが昨年度の転職先として人気を呼んだと言われている。

しかし一方で転職というより、そもそもの雇用がまるで不安定な状況に陥っている業界もあるため、光指すところに広がる影が大きすぎるのも今の日本ならではの状況だ。過酷な勤務をこなしているにも関わらず、労働に見合った対価となる収入などを得られないで消耗するだけの仕事を強いられている人も大勢いる。そういった業界をどのように改善していくかも重要なポイントになるが、何より問題視されているのが何と言ってもブラック企業の存在だ。

非人道的な労働を押し付けられ、若い世代の労力をただただ消耗品のようにすり減らしている企業の存在も懸念されている。昨年でいうところのゼンショーは一番いい例だ。系列店のすき家で問題視された深夜営業のワンオペ制度で、ろくに変えることの出来ないアルバイトが続出するなどして一時閉店を余儀なくされる店舗が続出するなど、成長し続けていた企業の暗部が露見するなど雇用の暗い部分が話題になった。

一長一短な転職事情のように見えるが、それでも一時転職を希望しても書類審査さえ通らないと言われていた時期と比べればまだ、転職事情もほんの少し改善されていると分析できると専門家は考えている。

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ホワイト企業の存在

ゼンショーを始めとした外食産業の労働状況が悲惨なことになっていると感じられるようになってから、益々従業員が企業に在籍しないで離れていってしまうケースが増えている。結果として、すき家のように末端のアルバイトが酷使されなければならないほど悲惨な労働環境が形成されてしまう。筆者も外食産業でアルバイト経験を持っているが、その時も働いていた頃は朝から晩までの勤務という時もあった。それが単純な人手不足のためという側面もあるが、結局は社員が休みを欲するためにアルバイトを出勤させているだけにすぎない。ただこうした労働環境の劣悪さは何も外食産業だけにとどまらない、様々な業界のあらゆる企業が同じような状況に直面していると考えるほうが自然だ。

その中でも急成長を続け、世間一般に言われるような優良企業である『ホワイト企業』というものに憧れる人もいると思うが、少しばかりメディアが過剰表現をし過ぎなのが気にかかるところ。そもそも人によっては優良企業と呼ばれるものの基準がイマイチ曖昧な気がする、結局働いてみないと分からないのが本音だ。実際に自分の体で見聞きし、体験して企業の良さを実感できなければ意味が無い。人から与えられる情報に依存しがちな現代社会だからこそ、振り回されないようにしたいがそうも行かない部分もある。

だからこそ日本人は安定を求めるのかもしれない、一度入社して退職、そして転職という道を選び続けていると企業からは労働力として不適切としてみなされ、ジョブホッパーという不名誉な肩書を与えられてしまったら、先行きが不安でたまらない。どんなに辛い会社でも転職するよりもまだ収入があるだけマシだと、そう考えたら妥協しなければならないのかもしれないと思う人が出てくる。そんな弱みに付け込んで企業側は逃げられないことを承知した上で激務を押し付けてくる、同しようもない負の連鎖が構築されている現代日本の労働状況がよく見える瞬間だ。

だからこそホワイト企業という、優良企業と呼ばれるブランドに惹かれて応募する人を増やし、人材の流れを一極集中してしまう。この現象が起きることで圧倒的不利な立場に置かれる中小企業が倒産をする、こういう話になるともはや転職どころの話ではないだろうという部分も垣間見られる。いつか改善されるなどと机上の空論を繰り返している政府官僚にとっては、ホワイト企業という幻想を立てて富を一元化させてしまっている、問題は一括して労働環境に変革をもたらさなければ抜本的解決を見込めず、遠からず日本が破滅する日も近いのかもしれない。

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男女関係なく

転職を始めとした就労状況において度々取り上げられる、『女性が自分らしく働ける職場を作る』というキャッチフレーズを見るとどうにも違和感があるように思ってしまう。女性ならではの理由が絡み合っているからこそと、そんな一言で片付けられるものではない。では女性が自分らしく働ける労働環境が形成されたとしたら、その反面で男性労働者はどのような立場に追いやられてしまうのか。女性を優先する職場はあるだろう、ただそれで男性の存在を今までのツケとばかりに片隅に追いやるような差別意識が生まれてしまうのではないかと、筆者は危惧する。

男女雇用機会均等法が施行されてから久しく時間が経過しているが、この法律は何も女性の社会進出を優遇するものではなく、男性も同じく女性しか働くことを許されなかった業界へと進出させるきっかけとなるものだ。どうもホワイト企業というブランドと同じく、女性という存在ばかりを中心にした広告を見かけると何かしらの意図が介在していると思えてしまう。もちろんそれはあるはずだ、女性という力がこれからの日本を支えるなどとも謳っている専門家もいるが、それで男性労働者の労働環境が悪化しても良いというものではない。

何事もバランスは必要だ、ただそのバランスを取ることが昨今の日本社会で難しくなってきている。転職という話にしても、まず根幹たる労働環境が整理されていなければそういう話ではない。安定を求めるのは女性だけでなく男性でも同じだというのが、どこか違うところに置き去りにされているのではないだろうか。